自動車

自己破産をすると持っている財産を処分しなければいけません。

よくあるイメージでは、家じゅうの家財道具や家電製品に「差押」と書いた紙を貼られて、根こそぎ持っていかれるといった感じでしょう。
しかし、そんなことをしてしまえば自己破産者は生活できなくなります。

そこまでひどいことは実際にはありませんので安心してください。

ですが、基本的に自家用車は手離すことになります。

とは言っても、「車がないと仕事にならない地域に住んでいる人」や「どうしても車だけは維持したい人」もいるでしょう。

そういった人たちのために、「自己破産をすると車はどうなるか」、「車を維持する方法はあるのか」といった疑問について説明していきます。

差し押さえが禁止されている財産

まずは最初の疑問、「自己破産をすると何でも差し押さえの対象になるのか」について説明します。

実は法律で差し押さえをしてはいけない財産というものがあります。

法律関係の文章はわかりにくいので、できるだけわかりやすく書いていきます。

差し押さえが禁止されているもの(差し押さえされない)

ベッド

  • 生活必需品(衣服、寝具、家具、台所用具、畳や建具)
  • 1か月間の食料や灯油などの燃料
  • 2か月間の生活費
  • 農業、漁業、その他業務上に必要な器具
  • 仏像や位牌など
  • 実印、系譜、日記、商業帳簿など
  • 勲章や賞状など
  • 学習に必要な書類や器具など
  • 公表していない著作物など
  • 義手や義足など
  • 設置が義務化されている消防用の機械や器具など

(参考:民事執行法第百三十一条

難しい法律をできるだけ簡単に説明するとこのような感じになります。

意外と差し押さえされるものは少ないと言えます。

しかし、これを見て分かると思いますが、「自家用車」は差し押さえ禁止対象ではありませんので、差し押さえされてしまいます。

自動車を維持する方法はあるのか?

先ほど「車は差し押さえされる」と言いましたが、何とか差し押さえされない方法はないのでしょうか?

実は、まったく手がない訳ではありません。

自動車ローンが「残っている」か「残ってない」かで打てる手が変わってきます。

自動車ローンが残っている場合

カーローン

現在、自動車ローンを払っている場合は、ローン会社によって車は持っていかれます。

通常は、ローンを払い終えるまでは、自動車の名義は「ローン会社」か「自動車販売業者」になっています。
現状では、車に乗っているのはあなたでも、車はあなたのものではありません。

ローンを全額払い終わってから、自動車の権利があなたのものになります。

これは、ローンが終わるまで車が担保になっているということです。
もしあなたがローンを払えない時に、車を売って少しでも車の料金を回収しようとする、ローン会社の作戦といったところでしょうか。

自己破産をすると、ローン会社から「車を引き取りに行きます」という連絡があります。
引き取りに来た業者に車のカギを渡して、車をそのまま持っていかれます。

これを防ぐにはこのような方法があります。

第三者にローンを払ってもらう

ローンの名義を他の人に代わってもらう方法です。

「私ローン払えなくなったから、お父さんお願いね!」といった感じでしょうか。

車ローンという借金を親が肩代わりしたので、法律上は親が車のローンを払っていく義務があります。

簡単に説明しましたが、現実はこうも簡単にはいきません。

まず一番の問題は、「ローン会社が認めるか」という点です。

ごめんね

いくら親が「私が娘の代わりにローンを払っていきます」と言っても、ローン会社が「名義変更」を認めなければ終わりです。
これはローン会社次第で、名義変更を一切認めないローン会社もあります。

それに、名義変更を認めるローン会社であっても、厳しい審査が待っています。

このケースなら、親が審査されます。
「本当にローンを払っていけるか」とローン会社は知りたいので当然ですね。

審査の結果、ブラックリストだったり、そもそもローンに通らないような年齢の人の場合は名義変更は無理です。
普通にローンが通るような属性の人であれば名義変更ができますので、車をそのまま乗ることが可能になります。

親族以外でも名義変更は可能ですが、他人の借金を肩代わりする人はあまりいませんので、親族以外はなかなか難しいでしょう。

自動車ローンがない場合

それでは、すでに自動車ローンを払っている場合はどうでしょうか?

自動車ローンを払い終わっている場合や、一括で車を購入した場合は、車の所有者は本人になっています。

別れ

一番の問題は、基本的に自己破産をすると車を手放す必要があることです。
20万円以上の資産は売却して、債権者のために分配する必要があります。

車の価値が20万円以下

つまり車の価値が20万円以下であれば、差し押さえされずに手元に残すことができます。

この20万円以下というのは、買値ではなく売値です。
「この車を売ったら20万円以上になるのか」という点が見られます。

車の買い取り業者から、「この車の価値は20万円以下ですよ」と言ってもらえればいいわけです。

手順としては、車の一括見積(カーセンサーやガリバーなど)で3~4社程度で見積もりしてもらいます。
その中で一番安い買い取り業者が20万円以下であれば、その見積書があれば車を残すことができます。

車関係の仕事をしている人がいれば、「この車の査定額を20万円以下にして」と頼む方法もあります。

この方法は価値が20万円以下になるような車に限定します。

自己破産後に、破産管財人が選んだ買い取り業者が20万円以上つけるケースもありますので、100%必ず車を残せるわけではありません。

古い車ならどうか?

古い車

古い車なら違う攻め方もできます。

初年度登録から6年以上経過している場合は、「車の価値はない」と判断され、車を手元に残せるケースもあります。
普通車は6年、軽自動車なら4年が目安です。
(参考:国税庁 耐用年数(車両・運搬具/工具)

ですが、ヴィンテージカーや、高級車などにはこの方法は通用しないでしょう。
例えば、6年以上前のポルシェが20万円以下になるかと言われれば、絶対にならないでしょうから。

裁判所に認めてもらえれば

次に、「比較的新しく、車の価値が20万円以上の場合は絶対に車を手元に残せないのか」という問題です。

残念ながら、基本的には残せません。
ですが、裁判官の裁量によって手元に残すことを認められたケースもあります。

「仕事上どうしても必要」というケースはどうでしょうか?
しかし残念ながら、この理由では認められないでしょう。

認められる可能性があるのは、「親の介護」や「持病がある」といったケースでしょう。

よほどの理由がないと、車が比較的新しく、価値が20万円以上の車は手元に残すことはできません。

裁判所によっては、「車を含めた財産の合計額が99万円以下」という基準で判断されることもありますので、可能性は残されています。

まとめ

自己破産をすると、基本的に車は手放さなくてはいけません。

しかし、手元に残す方法もありますので、自己破産をするときに弁護士に相談してください。

車を手放したくないからと、勝手に家族名義にしたりする人もいます。
ですが、自己破産後にそのことが発覚したら、自己破産ができなくなるなど、いろいろ面倒なことが起こります。
「自己破産前の資産隠し」と判断されることがあります。

まずは、自分で勝手に動く前に、弁護士に相談することをおすすめします。



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